大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

福井家庭裁判所 昭和63年(少)913号 決定

主文

少年を医療少年院に送致する。

理由

(一)  非行事実、罪名、罰条少年に関する司法警察員作成の昭和63年10月3日付、同年12月1日付および平成元年2月3日付各少年事件送致書中の犯罪事実、罪名、罰条各欄記載のとおり。

(二)  要保護性

1  少年の非行歴としては、昭和62年度窃盗(事案軽微・審判不開始)、同63年度窃盗(保護観察と別件保護中審判不開始)があり、そして本件各非行の反復となつている。とくに少年は前件保護観察(昭和63年3月31日)以降も定職に安定せず、相変らず不良交友、外泊を続け、また同63年9月からは再びシンナー吸引もみられ、さらに同年11月からは家出同様にして無断で新潟県上越市に転居して保護観察の指導から離脱しようとするなど、次第に非行性を深化させてきている。とりわけ少年は同年1月17日交通事故で頭蓋骨々折等の重傷をうけ、現段階でもなお頭蓋形成手術を要する状況にありながらこれを拒絶している。

2  少年の性格は、自己中心的、顕示的でわがままであるが、思慮が浅薄、情緒不安定で耐性に乏しく投げやり的な面があり、周囲の情況に支配され気分的、感情的に行動する。

3  少年の家庭は欠損はないが、少年を過保護、甘やかして養育した結果上記のような性格の歪みが生じたものとみられ、現段階では少年を監護補導するだけの能力はない。

4  よつて少年を施設に収容して、障害の治療とあわせて健全な労働にもとづく生活基盤の確立、順法精神の涵養をはかることにする。

(三)  処遇勧告

少年は前記のとおり現在早急に頭蓋形成手術をおこのう必要性に迫られているが、在宅の状態ではほとんど手術を受ける可能性がみられないので、医療少年院在院中に外部医療施設の協力をえて可及的速やかに該手術を行うよう勧告する。

(四)  手続適条 少年法24条1項3号、少年審判規則37条1項、38条2項

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例